酒車カス「最悪やないかい！このまま姫路行くわ！146km右折レーン直進、車置いて逃走でも懲役6年

【問う 時速194km交通死亡事故 法改正へ】神戸市の飲酒ひき逃げ　「どこが正常運転なのか」検察判断に納得できず

https://news.yahoo.co.jp/articles/e15b74caf39a2b7d6f14593c40f7adc09c2ccb3f?source=sns&dv=pc&mid=other&date=20240127&ctg=loc&bt=tw_up

ドライブレコーダーが一部始終を捉えていた。

　2022年6月3日未明。神戸市内の有料駐車場から、1台の乗用車が出てきた。料金の精算機にぶつかり、幹線道路に入った後は赤信号を2回無視。急加速した。
　その後、車は右折専用レーンを直進して広い交差点を通過。前方の三輪バイクに追突し、運転していた李泉（りせん）さん＝同市、当時（34）＝を死亡させた。
　裁判記録などによると、乗用車を運転していた30代の男はハンドルを握る前に飲食店2軒に立ち寄り、生ビールや焼酎の炭酸割りを計7、8杯飲んでいた。飲酒運転の発覚を恐れ、事故現場に車を残して逃走。程なくして捜索中のパトカーに見つかった。
　男の呼気からは基準値の3倍以上となる1リットル中0・54ミリグラムのアルコールが検出された。

　「加害者を危険運転致死罪で起訴できません」。事故から1週間を過ぎた頃、担当検事は遺族に告げた。
　飲酒は危険運転と判断される要素の一つだ。ただ、法律上は「アルコールの影響で正常な運転が困難」という条件が付く。
　検察の結論は「事故直前に男の車は蛇行せず、真っすぐ進んでいる」「逮捕後、男は片足で立てた。正常に歩けており、酩酊（めいてい）していない」というものだった。
　車は時速140～148キロで走行していたものの、猛スピードでの危険運転も立件が見送られた。進路を大きく外れておらず、「制御困難な高速度」には当たらないと判断されたとみられる。
　泉さんの姉の玲（れい）さん（37）は、検事の言葉を何度聞いても「どこが正常な運転なのか」と納得できなかった。
　遺族は代理人弁護士を通じて、危険運転の適用を求める意見書を神戸地検と神戸地裁に提出。兵庫県警の警察官も「遺族からすれば殺人に等しい」と担当検事に伝えたという。

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「最悪やないかい！このまま姫路行くわ！」と被告は叫び、女性には別の場所で落ち合うと告げ、車を放置して逃走した。

　裁判記録によると、ほどなくして被告はパトロール中の警察官に見つかり、逮捕された。その後に検出されたアルコールの血中濃度は基準値の４倍以上だった。

　▽これが危険運転じゃないなら、何が危険運転なんですか！

　法廷で傍聴していた私は、あまりにひどい状況に絶句した。同時に、なぜ被告の罪が「過失運転致死」なのか疑問に思った。これは危険運転ではないのか。なぜ危険運転致死罪が適用されないのか。

　捜査関係者によると、兵庫県警は当初、危険運転致死容疑で送検しようと神戸地検と協議した。ところが地検は、立件は困難と判断。県警側は困惑した。ある捜査員は思わず「これが危険運転でなければ、何が危険運転に当たるんですか！」と、声を荒らげたという。

　逮捕から１０日とたたないいうちに、姉の玲さんは検事から「過失運転致死罪で起訴する方針」と告げられ、ショックを受けた。「検事には現場を見てほしかった。一つ一つの事件を重く受け止めて捜査してほしかった」