【川勝知事】 ＪＲ東海案 リニア急転容認のウラ 新たな難クセに警戒 「土問題」浮上、平井氏「批判かわす狙いか」

ー前略ー
「（有識者で構成する）県の専門部会で検討に値するとの意見をいただいており、尊重したい」

川勝氏は２８日の記者会見で、ＪＲ東海案についてこう述べた。さらに、「リニア工事に向けた前進か」と問われ、「そうですね」と応じた。

ＪＲ東海の案は、工事期間中のうち、技術的に湧水を戻せない約１０カ月間、
東京電力関連会社が管理する田代ダム（静岡市）の取水を抑制し、県外流出分と同量を確保するというもの。
大井川流域の１０市町や利水団体などで構成する「大井川利水関係協議会」は、この案を了承する考えを示している。

一方、川勝氏は今月９日の記者会見で、「流量の話だけで全ての解決策のごとく言われているが全く誤りだ」などと
否定的な姿勢を示していたが、一転、ＪＲ東海案を認める考えを示したわけだ。

ただ、今回の川勝氏の発言は、争点の１つである「水問題」を了承したに過ぎない。
静岡県はさまざまな懸念点を挙げて、リニア工事建設に慎重姿勢を見せているからだ。

新たな争点として浮上しているのが、工事で発生する「土問題」だ。

静岡工区の工事では、約３７０万立方メートルに上る掘削土が発生するとされ、
ＪＲ東海は具体的な候補地を挙げて、盛り土する計画を掲げている。

これに対し、川勝氏は昨年８月、残土置き場の計画地について斜面が地下深くから崩れる「深層崩壊」の可能性を指摘し、
反対を表明した。同県熱海市で２０２１年に起きた大規模土石流災害を持ち出して、「崩れれば被害は想像を絶する」と述べた。

静岡県は、ほかの懸念点も挙げている。

国交省の有識者会議が今月７日、静岡工区の環境保全に関する報告書を大筋で了承したことに対し、
オブザーバー参加した森貴志副知事は「（今回の報告書をもとに）ＪＲ東海と議論すると、かえって時間がかかる危険がある」と反発し、
県の専門部会で今後、妥当性を議論する考えを示したのだ。

静岡県の姿勢を、識者はどうみるか。

経済安全保障アナリストの平井宏治氏は「川勝氏は、静岡県に対する全国の厳しい世論の声を意識しているのだろう。
今回は数ある反対理由の中から、一部を容認する姿勢をみせることで、批判の声をかわそうとしたように見える。
静岡県の姿勢は『リニア着工反対を目的化』しているように思え、今後は生態系の問題など別の論点を持ち出して、
反対の姿勢を続けることが予想される」と指摘する。

リニアは東京・品川と名古屋を４０分で結ぶ「夢の高速鉄道」で、日本経済の活性化、さらには「インフラ輸出の目玉」としても
期待されている存在だ。日本だけでなく、産業政策「中国製造２０２５」の重点分野に「先端鉄道」を掲げる中国も、
リニア開発に力を入れている。

平井氏は「リニアの超高速鉄道技術は、日本にとって世界で競争できる次世代の技術だ。
日本は第一段階として実用化して世界にアピールし、次に輸出の品目につなげていく必要がある。
川勝氏は、リニア工事に反対することが『県民のため』と思っているのかもしれないが、リニア中央新幹線の開業が遅れることは、
『中国を利する』ことにつながる。静岡県が反対の姿勢を取り続けることで、日本の国益にとって大きな損失が出かねない」と語った。

2023.11/29 11:38
https://www.zakzak.co.jp/article/20231129-DZ6AMLH3PNN4NLIRL6CYWXWKVM/

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