【英国】「貧しい人の味方」名物フィッシュ＆チップスが材料費高騰で危機

※5/27(金) 16:40　ロイター

英国の伝統的な庶民の味として親しまれてきた「フィッシュ・アンド・チップス（揚げた白身魚とポテト）」が、インフレの波に押し流されようとしている。材料の魚やじゃがいもから、食用油、さらに衣に使う小麦粉まで軒並み価格が跳ね上がったためで、信用調査会社カンパニー・デットによると、販売業者の3分の1が今年、倒産の危機にさらされているという。

ロンドン西部のフィッシュ＆チップス専門店「フックト」では、店を切り盛りするバリー・シンさんが売り上げの維持に大苦戦。材料の魚やじゃがいもから食用油、衣に使う小麦粉まで、軒並み価格が跳ね上がったからだ。
価格には一部しか転嫁できていない。
フィッシュ・アンド・チップス店のバリー・シンさん
「地域の他のファストフードと比べ、価格競争力を維持するのは大変だ。実際、売り上げや客足は落ちている。
100％、店の将来が心配だ。従業員も家族も、フィッシュ＆チップス業界自体も心配だ」

苦労しているのはシンさんだけではない。
信用調査会社カンパニー・デットによると、販売業者の3分の1は今年、さまざまな物価圧力が重なる状況のせいで倒産の危機にある。
EU離脱、新型コロナ、ウクライナ侵攻が最悪の事態を引き起こした。
材料となるマダラの漁獲量は、今年EU離脱前の4割しか認められず、4月の消費者物価指数は前年比9％と40年ぶりの高い伸び。ロシアのウクライナ侵攻で、食用油や肥料、小麦粉の価格が高騰している。

フィッシュ＆チップス業界団体のクルック事務局長はこう話す。
「事業が立ちゆかなくなるのではと心配する業者から、支援を求める電話が毎日鳴り止まない。長期的な問題になりそうなので、安心させるのは非常に難しい」

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