トランプ氏登場に政府・与党「日本重視」と好評価　安保は「想定外」、防衛省幹部同行せず

トランプ米政権の高関税政策を巡り、赤沢亮正経済再生担当相が日本時間の17日、米側との初交渉を終え、日本政府・与党内には前向きな評価が広がった。トランプ米大統領が自ら交渉に乗り出してきたことも、日本重視の姿勢の表れだとプラスに受け止めている。一方、関税交渉にもかかわらず安全保障の話題を持ち出され、「想定外」と動揺もみられる。

石破茂首相は赤沢氏を通じ、トランプ氏に「日米双方の経済が強くなるような包括的な合意を早期に実現したい」とのメッセージを伝えた。首相は協議終了後、赤沢氏から「率直で建設的な議論が行われた」と報告を受けた。米側から関税減免の言質は得られず、官邸で記者団に「日米間では依然、立場には隔たりがある」との認識を示した。その上で「今後とも容易な協議とはならないが、次につながる協議になった」と評価した。

日米首脳会談に関しては、閣僚級協議の推移を見た上で「最も適切な時期に訪米し、トランプ氏と直接会談することを当然考えている」と意欲を示した。

自民党の小野寺五典政調会長は記者団に「関税撤廃を強く求めることができた」として成功だったと評価した。赤沢氏とトランプ氏の会談実現を踏まえ「日本がいかに重要な交渉相手か、米側は重く受け止めている」との見方を示した。

ただ、安保の話題には困惑している。トランプ氏が日本時間16日夜、自身の交流サイト（SNS）で在日米軍の負担などについて協議する考えを示すと、防衛省内で「安保を話し合うとは初耳だ」（幹部）と悲鳴が上がった。

投稿時点で赤沢氏はすでに日本を出発しており、防衛省幹部は同行していなかった。防衛省幹部は17日朝、「これまで米側との当局間のやり取りで防衛負担の『ふ』の字も出てこなかったのに…」と恨み節を漏らした。自民の国防族議員は「十分予期できた事態だ。なぜ誰も付いていないのか、ひどい体たらくだ」と苦言を呈した。

立憲民主党の大串博志代表代行は記者団に「安保も交渉のテーブルに上るとなると、赤沢氏を主とした体制でうまく機能するのか懸念される」と指摘した。（田中一世、竹之内秀介）

産経新聞　2025/4/17 20:04
https://www.sankei.com/article/20250417-H6HRW5H5Z5N4VG54MBW6HYDSWQ/