女性進出阻む“壁”　熊本県議会、割合ワースト２　「男社会」の風土根強く

県議会の女性議員の割合が４．２％と、都道府県別で山梨に次ぎ２番目に低かった熊本県。２０２１年８月時点で４８人（定数４９、欠員１）中、女性は２人。過去にさかのぼっても３人が最多と、圧倒的に少ない状況が続いている。現職と元職の女性らは、家庭との両立が難しい議員活動などが壁になっていると指摘。議会の議論でも「女性の意見が反映されにくい」と訴える。

　「インターンシップの女子学生に議場を見せると『本当に男性ばっかりなんですね』と驚かれる」。県議会第２会派・立憲民主連合の岩田智子県議（６０）＝熊本市１区＝は苦笑する。県議会の女性割合は、県内の市議会（２０年末時点で９・７％）や町村議会（同９・６％）も下回る。岩田さんは「市町村議会では女性がトップ当選するなど明るい話題があるが、県議会が一番遅れている」と嘆く。

　岩田さんは２期目。元教諭のキャリアを生かし、教育分野やシングルマザーの支援、性暴力防止などのテーマに取り組んできた。昨年の定例会では、選択的夫婦別姓制度の導入を国に求める意見書案の提出者を代表し「信用や実績を築いてきた名字（姓）を変えることは人権に関わる問題」と訴えた。

　意見書案は最大会派の自民党県議団が同意せず、否決に。「夫婦別姓に限らず、女性が抱える問題の切実さが伝わりにくい」と強調する。

夜の会合

　無所属で２期目の松野明美県議（５３）＝熊本市１区＝も「妊娠中に胎児の異常を調べる出生前診断といった女性に関わるテーマに関心が集まりにくく、議論が深まらない」と話す。

　「政治に女性の視点が加わると、生きやすい社会になる」と女性参画の意義を訴えるのは、元県議の浦田祐三子さん（５０）＝玉名市。０７年から３期連続当選し、自民党県連の女性局長も務めた。

　元参議院議員の父の後援会を引き継ぎ、立候補のハードルは低かったが「議員活動は休みがなく夜の会合も多い。独身の自分はすべての時間を充てられるけれど、家庭を持つ人は難しい」。知人に市議選への出馬を勧めた際も「絶対に無理」と固辞されたという。

嫌がらせ

　女性議員ならではの苦労もある。内閣府は１月、女性地方議員の５８％が、同僚議員や有権者からセクハラやパワハラなどの嫌がらせを経験したとのアンケート結果を発表した。浦田さんは「『毎晩、街で遊び歩いている』と、うわさを流された」と打ち明ける。松野さんも、有権者に体形を話題にされて不快な思いをしたと言い、「宴席でコンパニオン扱いされたこともある。『男社会』の根強さを感じる」と懸念する。

　１８年に施行された「政治分野の男女共同参画推進法」は、政党に候補者の男女比を均等とするよう促している。ただ、女性議員の飛躍的な増加にはつながっていない。岩田さんは「努力義務どまりで実効性に乏しい。候補者や議席の一定数を女性に割り振るクオータ制の導入など、強制力を伴う制度にしなければ変わらない」と力を込める。（中尾有希、森紀子）

熊本日日新聞 | 2022年02月20日 11:48
https://kumanichi.com/articles/565554

細川ガラシャさんとかに思いを馳せていただきたい