同じ東京なのにこんなに違うの…困難を抱える女性のための専門職員、て配置に「大きな偏り」

　困難な問題を抱える女性の相談に応じる女性相談支援員1人当たりの女性人口について、東京23区と多摩地域の全26市の計49自治体間で10倍近くの差があることが分かった。困難女性支援法の施行1年に合わせて今月都内で開かれたシンポジウムで、調査した2人の自治体議員が結果を報告。法で努力義務とされる支援員の適正な配置や格差の是正を訴えた。（中村真暁）
　困難女性支援法　生活困窮や性暴力・性被害、家庭関係の破綻など女性を巡る課題解決のため、2024年4月に施行された。売春防止法に基づき保護更生を目的としてきた支援から脱却し、当事者を中心とし、官民協働で支援する視点が盛り込まれた。

◆多摩地域の15市が「他業務との兼務あり」
　報告したのは、世田谷区の小野瑞季区議と小金井市の片山薫市議。小野区議は昨年6月、片山市議は9月に調査した。
　23区で支援員1人当たりの女性人口が最少だったのは港区で約1万2000人、最多は板橋区で約9万8000人。26市では最少の国立、あきる野両市で約1万人、最多の町田市は5万5000人。国立、あきる野両市と板橋区とでは約10倍の開きがあった。5市は非公開とした。
　26市では他業務との兼務についても尋ね、15市が「あり」と回答。ひとり親家庭などを支援する母子・父子自立支援員との兼務が多かった。回答した各市の支援員計66人のうち正規雇用が33人、非正規が29人、再任用・その他が計2人、非公開が2人だった。
　支援法で努力義務が課せられている基本計画について、小野区議が今年4月に追加調査した結果では、23区中策定済みが4区、予定ありが13区、検討中が4区、予定なしが2区だった。
◆「適正な配置と国のさらなる補助体制を」
　シンポジウムで小野区議は「女性支援の格差が大きい。当事者中心の支援が大切」と指摘。片山市議は「丁寧な対応のため、支援員の適正な配置と国のさらなる補助体制を求める必要がある」と話した。
　支援法の制定に携わったお茶の水女子大の戒能（かいのう）民江名誉教授も講演し、「地域のセーフティーネットを作るため、やれることはたくさんある。市民も自治体の後押しを」と訴えた。
　女性相談支援員　支援法で都道府県に配置が義務づけられている専門職。困難を抱える女性を心理的、社会的、法的に支える。支援法施行で、従来の婦人相談員から名称変更された。市区町村の配置は努力義務で、昨年4月時点で配置する市区は53.7％。

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◆支援強化へ、民間と連携する自治体も
　支援法に基づき、精力的に女性の支援に取り組む自治体もある。東京都豊島区は…(以下有料版で，残り 625文字)

東京新聞　2025年4月26日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/401032