中国サプライチェーン博　目立つ米国勢、日本はそんたく?数社のみ

中国政府系団体が主催する第1回中国国際サプライチェーン（供給網）促進博覧会が28日、北京市内で始まった。米国の半導体規制など中国経済からのデカップリング（切り離し）圧力が強まる中、国際的なサプライチェーンにおける中国の重要性をアピールする狙いがある。会場には米大手企業の出展も目立ち、中国市場の存在感の大きさを物語ったが、日本企業の参加は一部にとどまった。

　大会事務局によると、博覧会には世界の515の企業・団体が出展した。中国企業が7割超を占めるが、米国からはインテルやクアルコムなどの半導体大手や電気自動車大手のテスラ、グーグル、アマゾン・ドット・コムなどIT大手が参加。スターバックス、ウォルマート、ビザなど業種の顔ぶれも多彩だった。

　習近平国家主席は17日に開かれたアジア太平洋経済協力会議（APEC）首脳会議で「世界的なサプライチェーンを維持し、経済・貿易問題の政治化、安全保障化に反対する」とデカップリングに反対する姿勢を強調していた。今回の博覧会では、米大手企業だけでなく、原材料から最終製品まで中国のサプライチェーンが強い太陽光発電分野で中国企業の出展も目立った。12月2日まで。

　ただ、米中経済の分断をうかがわせる場面もあった。米アップルは、取引先を展示するコーナーで「約200社の取引先のうち151社が中国で生産している」と結び付きの深さを強調した。ところが、アップルの生産ラインの機械を手がける中国メーカーの担当者は「米中対立の影響で、米国製の機械部品を使わず、国内で調達するようになった」と漏らした。

　一方、日本企業の参加は、ガラス大手のAGCやみずほフィナンシャルグループなど数社にとどまった。11月上旬に上海市で開かれた中国国際輸入博覧会で、国別で最大級の出展数だったのとは対照的。日本企業団体関係者からは「大会名に『サプライチェーン』とあるため、（経済安全保障を強調する）日米政府にそんたくしている雰囲気がある。したたかな米国企業の対応に比べて心配だ」との声も出ている。【北京・小倉祥徳】

毎日新聞　2023/11/28 19:23
https://mainichi.jp/articles/20231128/k00/00m/030/243000c