ジョージアからのロシア軍応援部隊が戦力にならないらしい

　米国防総省高官は25日、ロシア軍が隣国ジョージア（旧グルジア）に駐留する軍部隊をウクライナ東部に
投入する兆候を初めて確認したと明らかにした。米メディアは「戦線膠着（こうちゃく）の中での動き。米政権は部隊の
正確な数などは把握していないようだ」と伝えている。

　米高官によると、23日時点の分析で首都キエフ東方のロシア軍部隊は数十キロ後退。「ロシア軍は積極的にキエフに
進もうとしているようには見えない」と指摘している。東部ではロシアが攻勢を強めており、ロシア国防省によると、
親ロ派部隊がドンバス地域のドネツク州の54％、ルガンスク州の93％を支配下に置いたという。南東部の
港湾都市マリウポリは、市中心部まで非人道的な空爆などが行われ、多くの民間人が犠牲となっている。

　そんな中で新たに東部に投入される可能性があるのは、南オセチアとアブハジアに駐留する部隊。ロシアの支援の下、
ジョージア（当時グルジア）からの分離独立を2008年に一方的に宣言した地域だ。ロシアは当時、
ここにジョージア軍が進軍したのを機に自国民保護を唱えて軍事介入。両地域の独立を承認して「属国化」し、
その後は数千人のロシア軍を常駐させた。

　軍事評論家の柿谷哲也氏は「ロシア軍は想定外の苦戦で兵力が足りなくなり、その補充が狙いだろう。
ウクライナ東部の作戦に参加しやすいのも大きい」とみる。ただ、どちらの部隊も「装備は古く、決して強くはない。
あくまで補佐が任務では」と分析。戦力として期待が見込めるとは言い難い部隊という。

　それでもあえて戦地に投入するのにはどんな背景があるのか。「ロシアとすれば、頻繁に合同演習を積んできた
ベラルーシ軍などに来てほしいところだが、参戦を渋っているとの情報もある。派兵を断れない立場の両部隊が
捨て駒にされた感もある」とした。

　ロシア軍は25日、侵攻による死者が1351人に上ったと発表。一方でウクライナや米国は最大1万5000人と推計。
実態は分からないが、自国兵士にこれ以上の犠牲が出れば、プーチン大統領の政権基盤が揺らぎかねない事態となっている。

　ロシア軍は親ロ派支配地域の拡大に注力する方針を表明したが、狙い通りにいくのか疑問が残る。こうした部隊に
頼らざるを得ない状況がロシア軍の苦境を浮き彫りにした。
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2022/03/27/kiji/20220327s00042000105000c.html