沖縄県民可哀想…「ヤマトの蔑み何度も再確認」〈沖縄ヘイト〉　ﾍﾟﾛｯ…ガスライティングの『味』だぜ…

　1月に沖縄県内で発生した警察官と男子高校生の接触事故を受けて若者が警察署に投石する姿が報道され、インターネット上で県民へのヘイトスピーチ（憎悪表現）や差別的発言が相次いでいる。ヘイト問題に取り組む市民グループによると、直後の4日間で400件超。県民全体を攻撃する内容が目立つ。深刻さを知ってもらおうと催しを開いたグループは「怖くてネットを見ることができなくなった人もいる」と影響の大きさを訴える。

　「沖縄県はもはや土人の国」「沖縄人の知能は猿並みってことかな」－。
　今月21日、那覇市のビルの一室。壁や床は黒い紙に記された数々の言葉で埋め尽くされた。市民グループ「沖縄カウンターズ」が、ネットの書き込みを印刷した約190枚の紙を張り出した。差別的発言の多さを知ってもらおうと1日限定で企画。訪れた玉城健一郎県議（36）は「受け止める方は大きく傷つく。規制しなければ、さらにエスカレートする」と危機感をあらわにした。

　県警などによると、事故は1月27日、沖縄市で巡回中の警察官が警棒を取り出して高校生のバイクを止めようとして起きた。高校生は右眼球が破裂する重傷を負った。「高校生が警察に警棒で殴られた」との情報が広がり、27～28日に若者数百人が沖縄署の前に集結して石や瓶を投げた。

　グループが28～31日に会員制交流サイト（SNS）などを調べると、差別的な書き込みが少なくとも465件見つかった。「さすが沖縄県の民度。隣の半島と一緒」と中国や韓国を絡めておとしめるものや高校生への中傷もあった。多くが匿名だ。

　ヘイト問題の取材を続ける沖縄タイムスの阿部岳編集委員（47）によると、沖縄を巡るこうした中傷は、2013年に県内の市町村長が東京で米軍普天間飛行場（宜野湾市）の県内移設断念などを訴えデモ行進した際、「売国奴」と罵声を浴びたことで顕在化。その後も名護市辺野古への移設を進める国と県の対立激化に伴い、投稿内容がエスカレートしたという。

　「当初は移設反対派が標的だったが、今は県民全体が攻撃対象。沖縄に何を言ってもいいという風潮が強まっている」。グループ会員の40代男性はこう懸念。書き込みの大半は県外からとみられ、70代男性は「ヤマト（本土）が沖縄をさげすんでいることを何度も再確認させられている」とうなだれた。

　16年に施行されたヘイトスピーチ解消法は、国外の人たちへの差別解消を目指し、罰則はない。今回のような国内での中傷がやまない現状に、阿部氏は「実効性ある法規制が必要。国が動かないのであれば自治体が先行して条例で規制するべきだ」と指摘した。

　（那覇駐在・野村創）

「沖縄県民全体が攻撃対象」投石騒動後、SNSにあふれるヘイト・差別
https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/n/880761/
2022/2/24 9:51 野村 創 西日本新聞