【熊本】3歳児の腹部を殴って死亡させた母親、「暴行の危険性は低く悪質とはいいがたい」　執行猶予５年の判決

ことし２月、宇城市で３歳の長男の腹を殴って転倒させ死亡させたとして傷害致死の罪に問われた母親に対し、熊本地方裁判所は「暴行の危険性は低く悪質とはいいがたい」などとして、執行猶予５年がついた懲役３年の判決を言い渡しました。

宇城市の無職、齋藤悠紀被告（２８）はことし２月、自宅で、障害がある３歳の長男、葵斗ちゃんの腹を殴って転倒させ、死亡させたとして傷害致死の罪に問われました。

これまでの裁判員裁判で検察側が「いらだちから一方的に行った短絡的犯行だ」として懲役５年を求刑したのに対し、弁護側は「育児ストレスで責任能力が損なわれていた」として、刑を軽くするよう求めていました。

１０日の判決で熊本地方裁判所の平島正道裁判長は、犯行前後の言動から被告には当時、責任能力があったとした一方、「被告が長男の腹部に手を突き出して当てたのは１回だけで、危険性は低く悪質とは言いがたい」と指摘しました。

そのうえで「家族による育児の協力や公的支援が必ずしも十分とはいえないなかで、徐々に疲弊していった経緯には同情の余地が大きい」などとして、執行猶予５年がついた懲役３年の判決を言い渡しました。

判決後、平島裁判長が「家族の協力を得ながらほかのきょうだいの育児にあたり、同じ悲劇を繰り返さないでください」と語りかけると齋藤被告は「わかりました」と答えました。

09月10日　17時47分
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20210910/5000013443.html