在留外国人数が過去最高、岐阜県１０年で３割増　美濃加茂市は人口比率１０％、充実支援で永住者多く

岐阜県内の在留外国人数（12月末時点）は2022年に6万2710人となり、過去最高を更新した。技能実習生など外国人材の受け入れに積極的な企業の動きもあり、19年には6万人を突破。20、21年は新型コロナウイルスの水際対策で減ったが、22年に再び6万人を超えた。12年の4万5878人から10年間で3割以上も増え、一昔前に比べると外国人はより身近な存在になっている。市町村のランキングをみると、国籍などで各自治体の特徴が浮かび上がる。

　トップは、県内42市町村で最も人口が多い岐阜市。22年に1万人を超えた。外国人比率は2・56％で、県全体の3・23％を下回った。市内の国籍別トップは中国の2302人。全体の22・6％を占めるが、10年前と比べると1615人減った。増加が著しいのはベトナムの1441人で、12年の157人から約9倍に増えた。

　ベトナムからの増加の要因は、労働者としての受け入れが進んだ結果だ。岐阜労働局がまとめた22年10月末時点の県内の外国人雇用状況によると、国籍別トップはベトナムの9180人で、全体の25・4％。在留資格の「技能実習」の中では、全体の45・6％を占め、近年は中国に代わって多くの実習生を送り出す。

　2位の可児市は8827人。工業団地をはじめ製造業が盛んで、隣接する美濃加茂市も4位に入る。外国人比率は、美濃加茂市が10・32％、可児市が8・92％と、県内で突出している。

　国籍別では、ブラジルとフィリピンの割合の高さが際立つ。可児市はフィリピンが4018人で全体の半数近くに達し、ブラジルの3215人を合わせると8割を超える。全国で上位の外国人比率を誇る美濃加茂市も、フィリピンの2535人、ブラジルの2239人を合わせると、全体の8割以上となった。ソニー美濃加茂（当時）が日系ブラジル人を多く雇用した経緯があり、外国人の定住化が進んだ。08年のリーマン・ショックで一時減ったものの、再び増加傾向にある。

　永住者が多いのも両市の特徴で、可児市の3860人、美濃加茂市の2811人は岐阜市の永住者数2639人を上回る。外国人が経営する食料品店など必要な店舗や施設が近くにそろい、日本語教育や相談窓口など外国人向け行政サービスが充実していることが、住みやすさにつながっている。

　3位は、県内を代表する上場企業が集まる大垣市の6024人。うちブラジルが2384人と4割近くを占めた。5位は各務原市の3652人。町村のトップは不破郡垂井町の906人だった。

　最少は東白川村の20人。外国人比率は飛騨市の0・90％が最も低かった。

　厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、国内に住む外国人が2070年には総人口の1割を超えるとの見通しを示している。10人に1人が外国人の美濃加茂市の共生社会が日本の日常になる日も遠くない。

　【在留外国人】　永住や技能実習、留学などの理由で国内に住む外国人。出入国在留管理庁が在留資格別、国・地域別の人数を毎年公表している。2020、21年末は新型コロナウイルスによる水際対策などで2年連続減少したが、22年末は初めて300万人を超え、過去最高を更新した。岐阜県の22年末時点の在留資格は、「永住者」の2万58人が最多。「技能実習」は1万1647人、「特定技能」は3404人、「留学」は2295人だった。

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