首都圏地方議会の女性比率、「均等」になお遠く…北関東3県は全国平均下回る

首都圏地方議会の女性比率、「均等」になお遠く…最高でも東京の30％　北関東3県は全国平均下回る

　全国の都道府県と区市町村議会を対象にした共同通信の女性議員に関するアンケートを本紙が集計したところ、首都圏1都6県の女性議員比率の平均が2022年11月1日時点で21.2％だったことが分かった。全国平均の15.4％は上回っているものの、男女均等にはいまだ不十分な実態が浮かび上がった。都県別では東京が30.1％と最も高く、神奈川、埼玉は20％超だったが、茨城、群馬、栃木の北関東3県は全国平均を下回った。
　2018年に施行された「政治分野の男女共同参画推進法」は、国会や地方議会の選挙で「男女の候補者数をできる限り均等に」との目標を掲げる。現状を踏まえ、今春の統一地方選で各党などがどう対応するのか注目される。
　共同通信の調査は22年11月～23年1月に実施し、全国の1783議会が回答。無回答の議会は共同通信が女性議員数などを個別に取材した。回答時とは議員数などが異なっている場合がある。
　本紙が回答を集計したところ、首都圏で女性議員の比率が最も高かったのは、東京都清瀬市（定数20）と、神奈川県大磯町（同14、欠員2）の50.0％。都内はこのほか、東村山市（定数25）の48.0％、狛江市（同22）の45.4％、武蔵野市（同26）の42.3％が比較的高かった。23区では豊島（同36、欠員5）、中央（同30、同1）、文京区（定数34）が41％台だった。
　女性議員が1人もいない「女性ゼロ議会」は16議会（4.9％）あり、区市では茨城県潮来市のみ。町村は群馬県吉岡町、埼玉県小鹿野町をはじめ、都内では小笠原村や神津島村などいずれも島しょ部の4村だった。全国は全体の14.3％に当たる257議会あった。
　現職議長が女性なのは4.9％（16議会）にとどまり、都内は港、江東区、武蔵野、西東京市、神奈川は相模原市や鎌倉市など、埼玉は川口市や戸田市などだった。
　女性議長の就任歴があった議会は、東京と神奈川で6割を超えたが、1都6県の平均は41.4％だった。
◆女性の政治家挑戦が社会の多様化を反映させる
　共同通信の地方議会アンケートでは、首都圏の女性議員比率が2割程度にとどまった。政治のジェンダー平等を目指す「パリテ・アカデミー」（東京都港区）事務局長の西川有理子さん（52）は「身近な地方議会でも男女比の偏りがいまだに大きいことは問題だ。社会の多様な意見を反映すべき民主主義が実現できていない」と憂える。
　一方、全国的に見ると、東京、神奈川、埼玉は比較的女性議員の割合が高かった。「地域のしがらみが少なく、女性も選挙に出やすいという背景があるからだろう」と西川さん。パリテ・アカデミーも政治分野での若手女性のリーダーシップを育むトレーニングを実施しているが、「女性議員を増やそうと、学ぶ機会を提供する団体が多くあることも影響しているのではないか」とみる。
　昨年、パリテが東京で開いた講座の受講者はほとんどが40歳以下の人たちだった。西川さんは「若い世代が一歩踏み出せることがカギになる」と訴える。
　「子育てや介護などケアを担う人でも挑戦できるよう選挙活動のあり方を見直したり、女性が政治家になることが社会の多様性を反映させる、という意識を多くの人たちで共有していくことも大切だ」（小林由比）

東京新聞　2023年2月5日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/229360