沖縄タイムス「警察組織が男性ばかりで多様性を欠いているのはおかしい」

［Ｗｅ ＡＣＴ アクト ３・８国際女性デー］女性たちに聞く（６）宮城鮎子さん 県警刑事部捜査第３課課長補佐

　大学で心理学を学んだ経験から「心に傷を負った人に寄り添いたい」と警察官になった。沖縄県警は職員の９割以上が男性。その中で初の刑事部門の女性警部として盗犯捜査の指揮に当たる宮城鮎子さん（３８）に、女性警察官の「今」について考えを聞いた。

《宮城鮎子さん》

《警部として盗犯捜査の指揮を担う宮城鮎子さん＝２日、沖縄県警本部》

－－－－－警察官を志したきっかけは。

　「沖縄県内の大学で心理学を専攻し、カウンセリングを学びました。心理的ショックを受けた人が早期に適切な支援を受けることで、心の回復を早められるということを知り、被害者に最初に接することが多い警察官になろうと思いました」

－－－－－警察官になって苦労したことは。

　「初任地は名護署地域課で交番勤務から始まりました。いわゆる街のお巡りさんです。２４時間勤務で、通報があればいつでも現場に駆け付けます。女性としては、常にトイレの不安がありました。事件事故の現場やパトロール中、２人１組で行動する相方の男性警察官に、『お手洗いに行きたい』とは言いづらい。トイレを我慢して女性警察官がぼうこう炎になってしまうという話はよく聞きました」

－－－－－他に女性特有の悩みはありますか。

　「先輩の経験談ですが、事件事故の対応からトイレに行けず、経血が漏れて制服のズボンが汚れ、男性警察官に気付かれないように隠れて着替えたという話を聞きました。生理の時の不安を男性側が、より理解してくれれば、女性側も仕事がしやすいと思います。生理の周期で心身に影響が出ることもあります」

　「一部の署では行われていると聞きましたが、所属ごとに女性の体の仕組みについて学習する機会があれば良いと思います。男性社会であるからこそ、女性側が発信することも大事です。女性が『男女は対等な立場』との認識を持ち、男性に要求を伝えることも必要です」

－－－－－仕事上、見えない壁はありましたか。

　「例えば事件の被疑者が男性であれば、男性警察官が取り調べをすることが多いです。同性であることを生かし、被疑者と人間関係をつくるためだし、そもそも取り調べは男の仕事というイメージもあるかもしれません。個人的には、私と同期の男性刑事が取り調べを任される一方、私だけが取り調べを担当できず、悔しい思いをしたことがありました」

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「心に傷を負った人に寄り添いたい」　男性9割の警察組織で奮闘する女性警部
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/923314
2022年3月10日 09:52 沖縄タイムス＋プラス