強制不妊訴訟、国が再び上告　賠償命令に不服

強制不妊を規定した旧優生保護法を違憲とし、国に損害賠償を命じた東京高裁判決を不服として、国は２４日、最高裁に上告した。上告は賠償責任を初めて認めた大阪高裁判決に続き、２件目。
　東京高裁は１１日、強制不妊を国の不法行為と被害者が認識できた２０１９年の救済法成立から、５年間は損害賠償を請求できると判断。被害から２０年が経過すると請求権が消滅する「除斥期間」を適用せず、原告の男性（７８）に１５００万円の賠償を命じた。
　判決について、厚生労働省は２４日、同じく除斥期間を適用しなかった大阪高裁判決と同様に「法律上の解釈、適用で重大な問題を含んでいる」と指摘。両判決には「適用を制限する根拠と範囲に大きな食い違い」があり、最高裁の判断を仰ぐ必要があるとした。
　一方、松野博一官房長官は記者会見で、「（被害者への）一時金の水準等を含む今後の対応の在り方について、国会と相談し、議論の結果を踏まえて対応を検討していきたい」と述べた。
　国の上告を受け記者会見した男性は、「私らをどこまでいじめるのか。元の体を返してと言いたい」と語気を強めた。東京高裁の判決後、男性は厚労省や衆参両院を回り上告断念や早期の被害救済を訴えてきたが、「残念ながら、国に向き合ってもらえなかった」と肩を落とした。

時事通信　2022年03月24日18時14分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022032400968&;g=soc

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