岸田政権の原発再稼働　「地元同意」を占う統一地方選、論戦は低調

統一地方選挙2023

　原発回帰へ大きくかじを切った岸田文雄政権は今夏以降に7基の再稼働を進める方針だ。このうち、「地元同意」が済んでいない3基を抱える新潟、茨城両県でも議員選や首長選があるが、再稼働をめぐる議論は低調だ。地元では、与党を含めて、政権との温度差があらわになっている。

　「5キロ圏内に住んでいる人間として、いかに安全か体感しながら説明し、理解を得ていきたい」。新潟県議選が告示された先月31日、東京電力柏崎刈羽原発がある柏崎市・刈羽郡選挙区（定数2）の街頭で、自民候補が再稼働推進を訴えた。一方、社民推薦の無所属候補は「実効性のある避難計画はできていない。誰ひとり被曝（ひばく）するようなことがあってはならない」と語り、再稼働反対を掲げた。

　ただ、届け出は2人のみ。同選挙区では2003年以来の無投票で両氏の当選が決まり、論戦は1日で終わった。9日投開票の県議選（定数53）は全27選挙区に計71人が立候補した。無投票当選を除く14選挙区で計50人が選挙戦を繰り広げるが、訴えの中心は人口減少や物価高への対策。原発関連で生計を立てる人が多い柏崎市・刈羽郡選挙区以外では、再稼働の是非をめぐる議論は盛り上がりを欠く。

　岸田政権が東日本大震災後の原子力政策の大転換に踏み切ったのは今年2月。原発の新規建設や運転期間の延長とともに、再稼働に「国が前面に立ってあらゆる対応をとる」（岸田首相）とまで語った7基のうちの2基が、柏崎刈羽6、7号機だ。

　同県の花角英世知事は、東電福島第一原発事故に関する県独自の検証結果が出た後で考えを明らかにするとし、その際は「県議会の意見を踏まえる」と述べてきた。県議選は「地元同意」に関わる可能性がある議員を選ぶ機会となる。直前の先月、県議会で政権への強い反発が示された。

　「今の東電が再稼働すること…(以下有料版で，残り1357文字）

朝日新聞　2023年4月8日 17時00分
https://www.asahi.com/articles/ASR4753T6R45OXIE037.html?iref=comtop_7_03