【電脳世界】ハッカー集団・アノニマスが天安門事件関連で中国の教育サイトを埋め尽くした目的とは？

政治的な意思表示や政治目的の実現のためにハッキングを手段として利用するハクティビズムを基に活動を行う匿名のハッカー集団・アノニマスは2022年6月4日、中国江蘇省の職業教育・成人教育ネットワークにハッキングし、台湾をたたえる文言や画像と合わせて「天安門事件」に関連するビデオやその象徴的な写真として知られる「戦車男(Tank Man)」などを含むページをアップロードしました。改ざんされたページには、アノニマスからの直接の訴えが記されています。

Anonymous hacks Chinese educational site to mark Tiananmen massacre | Taiwan News | 2022-06-06 11:18:00
https://www.taiwannews.com.tw/en/news/4561098

互??答 – | Ghostarchive
https://ghostarchive.org/archive/Lkery?kreymer=true

Taiwan Newsが報じたところによると、中国江蘇省の職業教育・成人教育ネットワークが「TAIWAN NUMBAH WAN!」という文言と台湾の国旗・エンブレムがトップに表示されるページに改ざんされました。ビデオストリーマーの発言からミーム化したと言われる同様の文言は、2022年1月18日には中国政府のウェブサイトで、1月26日には国連のウェブサイトで表示されたことが報じられており、いずれもハッカー集団・アノニマスによる要求が改ざん内容に含められています。当該ページは削除されていますが、削除されたウェブページのアーカイブを保存するGhostArchiveでその内容を見ることができます。

アノニマスは政治的な意思表示のためにハッキングを行う集団であり、2020年5月に本格的な活動を再開した原因も、白人警官による黒人男性の暴行殺人事件が発端と考えられています。今回のハッキングでも、「ウクライナに関する要求から少し休憩し、天安門事件を思い出す活動をしています」と明確な意思表示が記されています。

続いて、マレーシアのラッパーと台湾を拠点とするオーストラリアの歌手がリリースして1週間で1200万の視聴回数を記録した中国のナショナリズム的なネット市民を風刺した楽曲「Fragile」や、天安門事件を説明するムービーが埋め込まれていたり……

「天安門事件」の象徴的な写真として知られ、中国で厳しく禁止されている「戦車男(Tank Man)」の画像が、ゲームで再現したものなど複数のパターンで表示されたりと、ページは天安門事件を想起させるコンテンツで埋め尽くされています。

続けてアノニマスは、国際社会に向けた複数の要求を明確にしています。まず、マサチューセッツ工科大学(MIT)のトッド・ライダー医師の新薬「DRACO」に基づいた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗ウイルス薬治療法を開発すること。次に、朝鮮半島を統一するという考えを考慮に入れること。そして、ロシアのウクライナ侵攻を阻止し、中立的な安全地帯を組み込むために取り組むこと。

また、最後にテキサス州ユヴァルデで起きた銃乱射事件の犠牲者となった子どもたち16人の写真が表示され、「米国税関国境警備局は『気まぐれ』で盗撮されています。しかし、ユヴァルデで目の当たりにしたように、アメリカは内部の脅威に立ち向かうことに消極的です」と非難しました。

GIGAZINE 2022年06月07日 13時00分
https://gigazine.net/news/20220607-anonymous-china/