【自民党】安全保障調査会、相手国の司令部も攻撃目標に加えることで一致

[2022年4月20日23時46分]

自民党安全保障調査会（会長・小野寺五典元防衛相）は20日の幹部会合で、政府の外交・安保政策の長期指針「国家安全保障戦略」など3文書改定に向けた提言案について大筋で合意した。自衛目的で相手領域内のミサイル発射を阻止する「敵基地攻撃能力」は改称した上で保有。反対論があった相手国の司令部などを念頭に「指揮統制機能」を攻撃目標に加えることも一致した。名称は小野寺氏に一任した。21日に全体会合を開いてまとめる。月内に岸田文雄首相へ提言を提出する。

名称を巡っては、弾道ミサイル攻撃を含む日本への武力攻撃に対する「反撃能力」や「打撃力」などが有力案として検討されている。小野寺氏が全体会合で具体案を示して意見を聴く見通しだ。

提言案で防衛費について、北大西洋条約機構（NATO）が加盟国に国防予算の国内総生産（GDP）比目標2％以上を求めている点を例示。NATO目標も念頭に防衛費増額を目指すとした。5年単位で防衛力整備の計画を定める「中期防衛力整備計画（中期防）」に代わり、10年単位の「防衛力整備計画」を新たに策定。10年間のうち「5年以内」に防衛費を大幅に増やすよう訴える。

防衛相経験者の「必要額を積み上げていくものだ」との異論を踏まえ「NATO目標も念頭に、5年を目途に同様の水準達成を目指す」との原案の表現を改めた。

輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の見直しも打ち出した。国際法違反の侵略被害国に対し「より積極的で広範な軍事支援」を可能とする制度の検討を求めた。

中国の台頭やロシアのウクライナ侵攻を受け、安全保障上の情勢認識として中国を「重大な脅威」、ロシアを「現実的な脅威」にそれぞれ引き上げる方針も盛り込んだ。

これまでの幹部会合では、防衛費の増額目標と敵基地攻撃能力の改称などで見解がまとまらず、3回目の協議となった。（共同）

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