【社会】兵庫の旧かんなみ新地、尼崎市が買い取りへ　違法風俗店の復活防止

尼崎市が土地と建物の取得を目指す旧かんなみ新地＝尼崎市で2022年5月30日午後4時40分、亀田早苗撮影

兵庫の旧かんなみ新地、尼崎市が買い取りへ　違法風俗店の復活防止
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　違法な風俗店営業が長年続いた旧かんなみ新地（兵庫県尼崎市神田南通3）の土地と建物について、尼崎市が買い取る方針を明らかにした。違法風俗店の復活防止など治安悪化を防ぎ、地域を再生する目的。6月議会に調査費520万円の補正予算案を提案する。

　市は2020年に、全国で初めて特定抗争指定暴力団・山口組系幹部の住宅を買い取った。他の暴力団関係者への転売を防ぐ狙いだった。風俗店として使われていた店舗の買い取りは全国的に珍しいという。

　かんなみ新地は計約680平方メートルの長屋で、36店舗が営業していた。21年11月、市と尼崎南署が違法な風俗営業の中止を求める警告書を出し、飲食店名目で性的サービスを提供していたとされる店舗の廃業を確認した。

　空き家状態となった店舗の長期間の放置で、火災や不法侵入などの治安悪化に対する住民不安の解消のため、市が対策に乗り出すことにした。取得後は、更地にして売却を想定しているという。

　市は、地権者向け説明会などを開き、全区画の関係者の意向がまとまれば、22年度内の一括取得を目指す。現在8店舗が飲食店として営業しているが、意向を聞き、生活支援やまちづくりなどの対策チームをつくって取り組むとしている。稲村和美市長は「近くに小学校もあり、誰もがためらいなく歩ける状況にしたい。多くの人の支持を得られるように説明しながら進める」と話した。【亀田早苗】