- 1 : 2024/03/26 10:56:31 ???
- 名実共に、ビジネスホテル業界のトップランナーであるアパホテル(以下、アパ)。同グループと他ホテルは、一体何が違うのだろうか。それを表す、4つのありえない数値がある。
まず1つめは、「2000万人」を超える会員数だ。アパは1971年の創業当時から会員制度をスタート、1号店から会員カードを発行している。
「通常オーナー企業がホテルを作る際には、社長好みのホテルを1つ、2つ作って終わることが多いものです。ですが弊社は最初から、『ホテル』ではなく、『ホテルチェーンを作ろう』と考えていました。そのため、会員カードは必須だったのです」とは、社長兼CEO元谷一志氏の弁。
そこから53年の歳月が流れ、会員数は2000万人以上に膨れ上がった。
会員数が増えた最大の理由はキャッシュバックにある。ホテルの会員サービスは「ポイントが貯まれば1泊無料」などの形式が多いなかで、1ポイントにつき1円相当、現金でキャッシュバックを行っているのだ。
しかも、2022年5月に還元率を大きく改定。最大11%だったところを、アパ提携のクレジットカードを使用するなど諸条件をクリアすれば、最大15%に引き上げた。
また、会員には5段階のステイタスがあり、還元率も各段階で最大9~15%まで階層化されている。利用泊数が増えるほどにステイタスが上がるのはもちろん、付与されるポイントには、前回紹介した「1秒チェックイン」や「オンライン予約」など、省人化サービスを利用するほどにボーナスポイントがつく。
「ゲストがビジネスで利用いただき会社が料金を支払っても、ポイントはゲストご自身に付与されます。ある程度ポイントが貯まれば現金に交換できますので、貯金感覚で何度も泊まってステイタスを上げているお客様が多いですね。5段階のステイタスが、リピーターを呼んでいるのです」(元谷氏)。
3つめのありえない数値は、「600人」。人手不足が叫ばれるホテル業界にあって、アパが2024年4月度に獲得した新卒内定者の人数だ。
実は、当初採用予定は500人だったそうだが、面接してみると志望者のレベルが高く、結果、100人以上多く内定を出すに至ったという。
就職希望者が増えた理由を元谷氏は、ベースアップだと分析する。2023年に1万1000円アップし、初任給も2万円アップした。しかもベースアップは2013年度から少しずつ続けており、コロナ禍の2020、2021年は据え置きだったものの、11年で合計4万2000円も増えたそうだ。
コロナ禍を挟んでの過去10年で、ここまでベースアップしているホテルチェーンはほかにないのではないか。
最後のありえない数値は、「52期連続」。1971年の創業からずっと黒字を続ける高収益だ。
コロナ禍はさすがに苦しかったそうだが、「全国のアパホテルを30連泊できる」サブスクプランを発売するなど、創意工夫で乗り切ったという。
ちなみに同プランは9万9000円と絶妙な価格設定で、「自転車1周旅」など、学生の休暇旅行に好評を博した。結果、1億円以上売れたそうだ。
このようにアパが高収益にこだわる理由は、持続可能な経営を行うためだ。そこにはまず、人材が不可欠。だからこそ確実に収益を上げ、従業員に給料や福利厚生として還元する原資にしている。
「サービス業界は長く人手不足が続き、他業種からの流入も少なくなっています。ですが、サービス業界で働きたいと考えている人は一定数います。彼、彼女たちに選ばれるためには、サスティナブルにベースアップ、福利厚生を充実していけると判断できる、信頼が必要なのです」(元谷氏)
それを裏打ちするのが高収益、すなわち財務力なのだ。このためアパは、「トリプルワンシステム」や「1ホテル、1イノベーション」などの姿勢で稼働を高めながら、レベニューマネジメントとダイナミックプライシングでRevPARをアップ。高収益を確保している。
圧倒的王者のアパホテル、4つの「ありえぬ数値」
名実共に、ビジネスホテル業界のトップランナーであるアパホテル(以下、アパ)。同グループと他ホテルは、一体何が違うのだろうか。それを表す、4つのありえない数値がある。まず1つめは、「2000万人」を超える会…
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